船釣り“あるよね”話

親子でシロギス釣り

長谷部 司 2016.11.10
東京湾のシロギス釣りへ出かけたときのこと。休日ということもあり、隣に座ったのは小学生の女の子とお父さんの親子連れだった。

様子を見ていると、その女の子はどうも釣りをするのが初めてらしく、出船前、お父さんは仕掛けにエサを付けたり、投げ方のレクチャーをしたりと忙しく動いていた。

「パパよりたくさん釣れた~」

ポイントへ着いて、まず最初に釣り上げたのは女の子。
親子でシロギス釣り
大喜びする子供の差し出すシロギスをハリから外し、エサをつけ直してあげるお父さん。なんとも微笑ましい光景である。

女の子はうまく投げられないので、ほぼ真下に仕掛けを降ろして、ただ竿を持っているだけの状態だったが、それでもよく釣った。そして、釣り上げるたびに「パパ釣れた~」「エサつけて~」となる。
お父さんは子供の世話に忙しく、落ち着いて釣りを楽しむどころではなかったが、自分が釣るよりもっと嬉しいに違いない。

女の子はその後も絶好調。シロギスだけでなくイシモチまで釣り上げたりと、なかなか素質がありそうである。
「パパよりたくさん釣れた~」と喜ぶ娘の横で、お父さんは苦笑い。『パパにも釣らせてよ~…』と、顔に書いてあったような気もするが、今日はホストに徹して娘に釣りを楽しんでもらうことにしたようである。

その横で、とびきり若い新たな釣り人の誕生に、私は一人ほくそ笑んでいた。こういう親子がいっぱい増えれば、釣りの世界ももっともっと活気が出るんだけどねぇ…。
ライター紹介
親子でシロギス釣り

長谷部 司(ハセベ ツカサ)

東京都在住。船釣り、磯釣り、堤防釣り、渓流釣り、エリアトラウト等々、幅広いジャンルの釣りをこなすマルチアングラー。特に磯のグレ釣りはメーカー主催の全国大会に出場経験のあるほどの腕前。本職はカメラマンで、船釣り、磯釣りなどの雑誌記事の撮影経験も豊富。

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