船釣り“あるよね”話

市場の誘惑

長谷部 司 2016.05.02
観光スポットに近い大型漁港には、漁協などが運営している観光客向けの魚市場が隣接していることがよくある。
魚市場
こうした市場ではその土地ならではの魚介を扱っていて、都市部のスーパーの鮮魚売り場にはないような珍しいものも売っていたりする。魚を見るのも食べるのも大好きなので、見かけるとついつい立ち寄ってしまうのだ。これと同じ理由で、港町のスーパーも機会ががあればなるべく覗いてみることにしている。漁港の近くで地の食材を探すひとときは、なかなかに楽しい時間である。

「激安イカに心奪われ……」

さてさて、だいぶ前の話になるが、常磐方面へ夜イカ狙いに行ったときのこと。
港へかなり早く着いたので、いつものように市場を散策していたのだが、そこで目についたのは、トロ箱一杯1000円のスルメイカ。その数、なんと20杯。激安である。

思わず手が伸びそうになったが、今日はイカ釣りである。
『バカなことは考えるな。おまえはこれからイカを釣りにいくんじゃないか!』そう自分に言い聞かせ、一度はその場を通り過ぎた。しかし、どう考えてもお買い得すぎる……。結局、この思いを振り払うことができず、気ついたときには1箱抱えてレジの前に立っていた。

そして出船……ご想像どおり、こんなときに限ってイカの乗りは抜群であった。クーラーボックスはイカで満タン。車のトランクに積んだトロ箱にもイカがいっばい。後悔したが後の祭りである。

家へ帰ると、イカの大漁には喜んでくれた。が、「市場でも買ってきた……」と告げたときの家族のあきれ顔は、今でも忘れることができない。
ライター紹介
市場の誘惑

長谷部 司(ハセベ ツカサ)

東京都在住。船釣り、磯釣り、堤防釣り、渓流釣り、エリアトラウト等々、幅広いジャンルの釣りをこなすマルチアングラー。特に磯のグレ釣りはメーカー主催の全国大会に出場経験のあるほどの腕前。本職はカメラマンで、船釣り、磯釣りなどの雑誌記事の撮影経験も豊富。

長谷部 司 バックナンバー