船釣り“あるよね”話

名人のスッテ

長谷部 司 2016.05.14
近年人気のマルイカは、イカ自体が非常に美味なだけでなく、カワハギ釣りに通じるテクニカルな釣り物であるため、腕の差がはっきり出るのも釣り人が熱くなってしまう理由だろう。

そんなマルイカ釣りに欠くことのできないアイテムが「スッテ」。スッテの種類や配色が釣果に与える影響は大きく、マルイカ釣り師の頭をいつも悩ませるのである。
スッテ

「仕掛けだけではないのはわかっていても…」

あるとき同船した釣り人のなかに、ダントツのペースでマルイカを乗せる人がいた。
まず気になるのは、使っている仕掛けである。仕掛けがすべてでないのは重々承知のうえだが、その人があまりにも釣るので、恥を忍んで伺ってみた。

その名人はとても気さくな方で、初対面にもかかわらず使っているスッテについて事細かく教えてくれて、おまけに売っている釣具店まで丁寧に教えてくれた。

重ねて言うが、釣れる理由はスッテだけではないのはわかっている。だが、真似をするならまずは道具からだ。
というわけで、その日の帰り道、さっそく名人に聞いた釣具店に立ち寄り、教えてもらった色、デザインのスッテをあれもこれもと大量に買い漁ったのであった。

大量に買い漁ったスッテ
しかし、釣れるスッテをしこたま買い込んだ私は、もはや釣ったも同然の気持ちになっていたのだろう。「今度試そう…」と思いながら、なんとなく釣りたい欲が減退していき、あれだけ熱くなっていたマルイカ釣りから足が遠のいてしまった。

そんなわけで大量のスッテは文字どおりタンスの肥やしとなっているのだが、この原稿を書いていてその存在を思い出してしまったので、今シーズンは久々にマルイカ釣りに挑戦しようと思っている。
ライター紹介
名人のスッテ

長谷部 司(ハセベ ツカサ)

東京都在住。船釣り、磯釣り、堤防釣り、渓流釣り、エリアトラウト等々、幅広いジャンルの釣りをこなすマルチアングラー。特に磯のグレ釣りはメーカー主催の全国大会に出場経験のあるほどの腕前。本職はカメラマンで、船釣り、磯釣りなどの雑誌記事の撮影経験も豊富。

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