船釣り“あるよね”話

カツオの憂鬱

長谷部 司 2016.11.10
相模湾へカツオの一本釣りに行ったときのこと。
この日はなかなかカツオの群れが見つからず、朝から船は走りっぱなしだった。
カツオの憂鬱
そんなわけで、釣り人はひたすら船に揺られているしかなく、時折、小さな鳥山を見つけては船中がザワつくだけだった。

「カツオ、キターッ!」

いい加減、船に揺られるのも飽き飽きしてきた頃、ようやく大きな群れに遭遇。みんな待ってましたとばかりに釣りにかかり、静かだった船中が一転カツオ祭りに!

鮮度が落ちるのが早いカツオだけに2~3尾あれば持ち帰るには十分なのだが、30分ほどで10尾近く釣り上げることができた。

しばらくしてカツオの群れがいなくなると、船上には再びエンジン音が響くのみ。その後はカツオの群れに遭遇することなく港へ戻った。

持ち帰る獲物には事欠かなかったが、数時間船に揺られて、実質釣りができたのは30分少々。「クルージング」と呼んでしまえば聞こえはいいが、もっと釣りがしたかった……というのがやはり本音。

群れを追う釣りは、単に釣果だけでは図れない悩ましさがあるのだった。
ライター紹介
カツオの憂鬱

長谷部 司(ハセベ ツカサ)

東京都在住。船釣り、磯釣り、堤防釣り、渓流釣り、エリアトラウト等々、幅広いジャンルの釣りをこなすマルチアングラー。特に磯のグレ釣りはメーカー主催の全国大会に出場経験のあるほどの腕前。本職はカメラマンで、船釣り、磯釣りなどの雑誌記事の撮影経験も豊富。

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